THE DIARY OF NATHAN ADLER OR THE ART-RITUAL MURDER OF BABY GRACE BLUE
in
David Bowie's "1. OUTSIDE" (1995)
- a tentative translation by Mizuki (October 2005)-
このページでは…デヴィッド・ボウイのアルバム、"1. OUTSIDE"(邦題は「アウトサイド」)添付のブックレット"The
Diary of Nathan Adler or the Art-ritual Murder of Baby Grace Blue"(「ネイサン・アドラーの日記」)の拙い全文訳をご紹介しています。
「アウトサイド」は95年にリリースされた、ボウイにとっては通算19枚目にあたるソロ作品(ライブ盤、ベスト盤、サントラ盤等を除く)です。このアルバムは、いわゆる"ベルリン三部作"の立て役者だったブライアン・イーノをプロデューサーに迎え、「猟奇殺人」、「身体変容」、「コンセプチュアル・アート」、「サイバー・パンク」、世紀末的頽廃ムードや社会の混沌…といった雑多なテーマを軸に、実験音楽的な手法を大胆に採り入れた意欲作として発表されました。しかし、難解極まりないそのコンセプトゆえ-また、シングルカットされた「ハーツ・フィルシー・レッスン」の猥雑で、思わず目を背けたくなるようなPVの映像もあって-、セールス面で思わしい結果に結びつかなかったばかりか、ファンの間でも賛否相半ばする複雑な反応をもって迎えられてしまったのでした。確かにあまりにアクが強すぎて…好きな人はとことんハマってしまうけど、嫌いな人は「意味不明でついてけねぇよ」…という感じでしょうか…。
オックスフォード美術館の玄関前に曝された、14歳の少女「ベイビー・グレース・ブルー」のバラバラ死体…。これは単なる殺人事件なのか?それとも、芸術か…? まるで当時話題になった「ツイン・ピークス」や後に起こる神戸の連続児童殺傷事件を連想させるかのような猟奇殺人をテーマに、この事件を取り巻く人々のナレーション(segue)と彼らによって歌われる楽曲とによって構成された、ストーリー仕立てのこのアルバム。サウンド的にも、イーノの紡ぎ出すノイジーでまったく隙間のない過密な音響の世界と、マイク・ガースンの奏でる生々しいピアノの音とが絡み合って、聴き続けるうちにボディブローのように効いてきます。時には無表情に、また時には絞り出すような声音で語られていくボウイの虚構の世界…。じっと身を委ねていると…無抵抗のまま底知れぬ深みにズルズルと引きずり込まれていく感覚が全身を襲い、思わずゾクゾクしてしまいます。そして、1曲も飛ばすことなく、ブッ通しで全曲聴き終える頃には…心地よい虚脱感がジンワリと染み込むように、脳内や胎内を蝕んでいく感じ…。これはもう、究極の「癒し系サウンド」ではないかと…(苦笑)。そうしたわけで、私個人としては、この作品…同じく難解で壮大なストーリー性をもった「ダイヤモンドの犬」(1974)と並んで、ボウイのアルバムとしては最も頻繁に聴くものの一つなのです(あっ、ちなみにその次に好きなのは、"ベルリン三部作"でも「ジギー」でもなく…「レッツ・ダンス」だったりします!…笑)。
ところで、コンセプトの難解さに加えて、この作品に対する私達の理解を一層困難にしているのが、その歌詞がおおむね「カット・アップ」と呼ばれる手法によって作り出されたものである、ということでしょう。このアルバムについては、ボウイ自身があらかじめピックアップしたいくつかの単語やフレーズをコンピュータ・ソフトにぶち込んで、それによって選別された単語やフレーズをもとに歌詞が作られた…とも言われています。つまり、結論から言ってしまえば…1つ1つの単語の意味を突き詰めて解明しようとしても、あまり意味はない…ということになるのでしょう。ただし、逆に考えてみれば、さほど深い意味のない単語の羅列であるがゆえに、聴き手がかなり自由な解釈を行う余地も出てくるし、それをもとにして自己流にストーリーを再構築していけるというのも、「アウトサイド」ならではの楽しみの一つ…と言えるのではないでしょうか。
さて、こうした歌詞の「解読」作業を進めていくうえで、何よりも重要な手掛かりになるのが、ブックレットに収録された「ネイサン・アドラーの日記」なのです。この「日記」には、それぞれの楽曲に登場する人物のプロフィールや事件の背景が、雑多なサブカルチャー事情を交えながら描かれています。従って、「アウトサイド」の全貌を把握するには、まずはこの一見難解で意味不明な日記を読み解くことが不可欠だ…と言っても過言ではないハズです。
本当のコトを言えば…当初は楽曲も含めた全訳と解釈を目指していたのですが、さすがにそれは私の手に余る…ということで断念…(恥)。しかし、折角「ネイサン・アドラーの日記」だけでも訳してみたのだから…ということで、お恥ずかしいながらもこうしたかたちで公開させていただくことにしました。自分でも十分意を尽くせなかった箇所もありますので、それらについては随時アップデートしていくつもりでいます。また、明かな誤訳も散見されるかもしれません。お気づきの点がありましたら、どうぞご指摘くださいませ。
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Index of "1. OUTSIDE" |
1. Leon Takes Us Outside 2. Outside 3. The Hearts Filthy Lesson 4. A Small Plot of Land 5. segue - Baby Grace 6. Hallo Spaceboy 7. The Motel 8. I Have Not Been to Oxford Town 9. No Control 10. segue - Algeria Touchshriek 11. The Voyeur of Utter Destruction (As Beauty) 12. segue - Ramona A. Stone/I Am with Name 13. Wishful Beginnings 14. We Prick You 15. segue - Nathan Adler 16. I'm Deranged 17. Thru' These Architects' Eyes 18. segue - Nathan Adler 19. Strangers When We Meet |
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